お寺の鐘にはどんな意味があるのか?

みなさんはお寺の鐘の音を聴いたことがありますか?朝や夕方に近くのお寺で聴いたり、大晦日に除夜の鐘を聴いたり、実際に鐘をついたことがある人もいるでしょう。あの音を聴くとどこか懐かしいような、不思議と心が落ち着くような感覚になりませんか?

今回はそんなお寺の鐘をつく意味やタイミング・種類、鐘にまつわるエピソードなどをご紹介していきたいと思います!

お寺の鐘はどんなタイミングで鳴るのか

鐘は朝と夕の二回、時刻はお寺によって変わりますが、一日のはじまりと終わりを知らせるために鳴らしています。一日に二回以上鳴らしたり、そもそも鳴らさなかったりと明確な決まりはなく、回数はお寺によっても色々です。鐘はあっても近隣の迷惑になるため、とくに都会ではほとんど鐘を鳴らさないお寺もあります。

今でこそ当たり前のように誰もが時計を使っていますが、昔はほとんどの庶民が正確な時間を知るすべをもっていませんでした。そのため時報のような役割をお寺の鐘が担っていたとされています。

さらに鐘の音は仏様の声であり、その音を聴いた人がこの世の一切の悲しみから解放されるように、願いを込めて鐘はつかれていました。鐘の音を聴いて心が安らぐのは、このことがあるからなのかもしれません。

また、このように時報として使用していた鐘の正式名称は梵鐘といって、法要などの仏事の始まりを知らせる予鈴としても使われていました。

鐘にはいくつか種類があり、大きな釣り鐘である梵鐘と比べ、小さなサイズの半鐘というものもあります。サイズは半鐘と同じでも、呼鈴として使用するものは喚鐘といいます。

除夜の鐘

12月31日深夜0時に、108回鐘をつく除夜の鐘。参拝客がつくこともあるので、必ずしも108回ではないお寺もあります。この108というのが、仏教では人の煩悩の数だということはあまりにも有名ですね。

除夜というのは大晦日の別名で、徐日の夜のことをいいます。その年の最後の日から新しい年にうつる大切な時間に、鐘をつき煩悩をはらって新年をむかえる大切な行事です。

また韓国でも、除夜の鐘をならす行事があります。除夜の鐘は元々は中国で行われており、そこから日本、日本から韓国へと伝わりました。日本のようにお寺の鐘を鳴らすのではなく、ソウルの普信閣にある鐘を33回つきます。

鐘と正岡子規

秋の俳句である正岡子規の「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」。明治を代表する俳人である子規の作品で最も有名な俳句です。法隆寺に立ち寄った後、店で柿を食べながら休憩していると法隆寺の鐘が鳴り、その響きに秋を感じたという句意です。

しかしこの句に関しては、色々な説がありました。そのうちのひとつが、この句は法隆寺ではなく東大寺で詠んだのでは、というもの。子規が奈良の東大寺近くに滞在していた時の日記に、美味しい柿を食べていたら東大寺の鐘の音が聞こえた、と記されていました。このことから、元は「鐘が鳴るなり東大寺」だったのではないかという説があります。芸術的な観点から、東大寺より法隆寺の方がいいと判断し、変更したのかどうか。可能性のひとつとしては大いにあり得る説です。

そしてもうひとつ。子規は当時重い病に侵されていました。病を患っていた子規が奈良を訪れていた際、すでに症状はかなり悪化していました。そもそもそのような状態で法隆寺を訪れたかどうかも、疑問視されています。じつは病の床についていた子規が、外出して秋を感じたいという願望を句にしたという説もあります。

どの説が正しいかはさておき、正岡子規というひとりの俳人が聞いたお寺の鐘の音が彼に秋の美しさを感じさせ、彼の俳句が何年も多くの人の心をつかんで離さないとうことは明らかな事実です。

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