もくじ
11月15日は「七五三」。お子様の成長を祝う大切な行事として着物やヘアメイクなどに力を入れて準備しているかと思います。
しかし、事前準備はすぐ決められても当日の参拝先に迷われている方も結構います。参拝先にふさわしいのは「神社」なのか「お寺」なのか分からないという方も多いです。
そこで、今回は七五三の参拝について解説していこうと思います。対象のお子さんがいるご家族の方は当日の様子をイメージしながら読んでみてくださいね。
七五三は神社でもお寺でもできる
結論から言うと、七五三は神社でもお寺でも参拝ができます。どちらにしなければいけないという決まりはありません。
しかし、日本では一般的には「七五三=神社」というイメージがありますよね。
それは、日本古来の宗教が神道だからです。神道では、生まれた土地の氏神様が子供を守ってくれると伝えられています。そのため、地元や自宅近くの神社で七五三をしていたのです。この名残が現在でも残り、「無事に成長したご報告」と「これから成長を祈願」することを目的として七五三を行います。
一方でお寺は祈願をする場ではありません。成長を喜び、感謝する場には変わりありませんが、「仏様がいつでも寄り添い見守ってくれている」という意味を込めて行います。
このように、目的の違いが神社とお寺にはあります。どちらが良いといわけではないので、それぞれのスタイルや価値観に合った場所、あるいは思い入れのある場所で行いましょう。
七五三の年齢の意味
七五三を行う年齢は決まっています。男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳です。それぞれの年齢には以下のような意味があります。
3歳
3歳では、男女とも髪を伸ばし始める時期として「髪置(かみおき)の儀」を行います。日本では古来から「3」が縁起の良い数字とされてされてきました。例えば、三宝や三種の神器、三拝一礼など、昔から「3」はあらゆる場面で使われている数字です。
5歳
5歳では、男の子が幼児から少年へ成長し、初めて袴を着けるようになる「袴着(はかまぎ)の儀」を執り行います。
「5」も「3」と同じように神聖な数字です。お釈迦様が悟り開いたのも35歳。万物は木・火・土・金・水の五行からなるとする五行思想にも「5」という数字が使われています。
7歳
7歳では、女の子が三つ身の着物と付け帯から四つ身の着物と普通の帯へ変える「帯解(おびとき)の儀」を行います。
日本では、8を末広がりとして縁起の良い数字としていますが、7も幸福を呼ぶ数字として知られています。七福神や古事記にある十二柱七代の神が良い例かと思います。
七五三の年齢は、古くから福をもたらしたり、神々の恩恵を受け取るにふさわしい数字で決められています。また、伊勢物語に収録されている「ちはやぶる」の句の合計が357であったり、神道における神祭具である「しめ縄」は漢字で書くと「七五三縄」と表すことができるため、七五三と神社は昔から深く結びついているのです。だからこそ、「七五三=神社で行うもの」というイメージがついてしまったのだと考えられます。
参拝作法の違い
神社でもお寺でも七五三を行うことは可能ですが、参拝の作法は変わってきます。それぞれの一般的な作法をご紹介していきます。
神社
神社は下記のような手順で参拝します。
- 鳥居の前で立ち止まり、一礼をして敷地内に入ります。
- 手水舎で手と口を清めます。
まず右手、左手の順で手に水をかけます。その後、左手に水を受け、口をすすぎます。柄杓を立て残った水で柄杓の柄を洗い、元へ戻すのが禊(みそぎ)と呼ばれる大事な作法の一つです。 - 本殿に着いたら、会釈をして賽銭箱へお賽銭を入れます。
「二礼・二拍手・一礼」をして、参道の端を歩いて戻ります。 - 鳥居の前で一度振り返り、再度一礼をします。
参道の真ん中は神様の通り道となっているため、端の方を歩くようにしましょう。
お寺
お寺の場合も、大まかな流れは神社と同じです。
- お寺の正門の前で一礼、または合掌をして敷地内に入ります。
- 手水舎で手と口を清めます。作法は神社と同じです。
- 本堂に着いたら、賽銭箱にお賽銭を入れます。ここで注意するのは「拍手をしないこと」です。お寺では、両手を合わせて目を閉じ、静かに合掌をします。
お寺も神社同様に、正門の足元にある敷居は踏まないようにしましょう。
なぜ七五三は11月15日なのか
ここまで七五三の参拝について解説していきましたが、そもそも七五三はなぜ11月15日なのか不思議に思いませんか?由縁は諸説ありますが、代表的なものを3つご紹介していきます。
- 1つ目は、古代中国の「二十八宿」という占星術から来ています。11月15日は「万事進むに大吉」と言われているため、子供の成長を祈るのに最も良い日だと考えられたためだとされています。
- 2つ目に、七五三が定着した江戸時代の名残という説もあります。江戸時代の五代将軍である徳川綱吉の子供、徳松が3歳の時に行った髪置の儀式が11月15日にだったことから来ているようです。
- 3つ目に、日本で昔から行っている農家の1年の収穫を祝う「収穫祭」を11月の満月の日に行うからとの説も存在します。そのため、氏神への収穫の感謝と子供の成長を願って、この時期に七五三を執り行うようになったのだと言われています。
このように様々な説があり、11月15日は重要な日とされていますが、必ずしもその日に行わなくてはならないというわけではありません。
家族や親戚の都合や11月15日が仏滅で縁起の悪い日に行うのに抵抗があるという場合は前後の都合の良い日に実施することができます。もちろん9月や12月でも受け付けてくれます。年中受け付けしているところもあるので、近くの神社やお寺に問い合わせてみてくださいね。
身内に不幸があったら七五三はできないのか
ここでふとした疑問を解消しておきましょう。
「身内に不幸があった場合、七五三はやらない方がいいのか?」という質問をよく聞きます。先程も言ったように神社とお寺では七五三などの祝い事に対する意味付けが違ってくるので、それぞれ解説していこうと思います。
神社の場合
神社は神道の教えに従っているので、「穢れ」の考え方が関係してきます。いわゆる忌中や喪中の期間に当たります。
一般的に忌中は身内が亡くなって50日と言われています。一方で喪中は身内が亡くなってからの悲しみが癒えて日常を取り戻すまでの期間だとされているので、その期間は自分の気持ち次第ということになります。
忌中や喪中の期間は派手な場所に出向いたり、お祝い事は避けるとされている期間なので、七五三は避けるべきでしょう。ただ、「忌」の50日間を過ぎていれば、同年内に神社で七五三をすることは良しとされています。
お寺の場合
仏教には「穢れ」の考え方はありません。忌中や喪中の期間も存在しません。なので、お寺では七五三を行っても良いということになります。
ただ、身内が亡くなってしまったわけなので、悲しく、辛い日々から日常を取り戻すのに時間がかかるのは同じです。気持ちの整理をしてから、晴れ晴れとした気持ちでお祝い事をするのが良いかと思います。