お寺でマインドフルネスを学ぼう!坐禅とヨガの違いとは?

近年、「マインドフルネス 」という言葉をよく耳にするようになりました。お寺でも修行体験としてマインドフルネスを取り入れているところがありますよね。坐禅やヨガのように瞑想をするのですが、その違いは一体何なのでしょうか?

今回は、マインドフルネス ・坐禅・ヨガの3つの特徴とやり方をご紹介していきます。簡単にできるので、自宅や職場などでも実践できますよ。

マインドフルネスの定義

マインドフルネス とは、今の自分の状態に意識を向けて心を整える技法のことです。よく「気付き」と訳されるますが、これは物事を評価せずにありのままに受け取る観察することを意味します。

マインドフルネスを英語にすると、「mindfulness」。mindの精神・心という意味とfulnessの満ちているという意味の二語で構成されています。つまり、マインドフルネスは、精神や心が満ち足りている状態のことを指します。ちなみに、マインドフルネスの反対の状態を「マインドレスネス(mindlessness)」といいます。これは、mindとlessnessなので、精神や心が不足している状態を指します。

マインドレスネスの状態である時は、マインドフルネスに転換させることが大切になってきますが、無理に意識を変えようと思ってはいけません。たとえネガティブな感情や思考に出会ってもプラス思考に持っていくのではなく、その事柄を一つ一つ丁寧に感じていくことがマインドフルネスを維持する近道になります。

また、マインドフルネスの根源は仏教にありますが、目的がストレスに負けない心身と集中力の強化であることから、宗教観が取り入れられることはほとんどありません。

マインドフルネスを行うと、自分自身のことがよく分かります。良い体験だけでなく辛い体験をした際にも自分を思いやることができます。今まで気付かなかった日常の小さな豊かさも発見できることでしょう。

坐禅・ヨガとの違い

マインドフルネス ・坐禅・ヨガの違いは定義と目的にあります。

坐禅の定義は、仏教の教えにならって姿勢を正し、座った状態で精神統一を行うことです。お釈迦様と同じ姿勢・同じ呼吸・同じ心修行をすることで、悟りの道が開かれます。それらを「調身・調息・調心」を言いますが、この3つを意識することで理想の姿になれるのだとか。

一方で、ヨガの定義は心の動きを抑止することにあります。瞑想の末にあるディヤーナと呼ばれる精神状態に持っていくとも表現されることも。心の動きをコントロールする様々な苦悩から解放されることを目的としています。つまり、安定した心地の良い心を作ることを言います。

やり方

3つの特徴が分かったところで、ここからはそれぞれのやり方をご紹介していきます。

マインドフルネス

マインドフルネス のやり方は主に4種類あります。

  • 呼吸
    丹田呼吸法」がおすすめです。おへその下辺りを意識して、腹式呼吸をしてみましょう。
  • 歩行
    歩く際に身体のあらゆる部位に意識をおきます。例えば、服のすれる感触だったり、足を動かす動作に集中するのです。
  • 食べる
    普段食べてみるものでも初めてみるような感覚で食べるのも効果的です。一つ一つじっくり味わってみましょう。
  • ボディスキャン
    仰向けになって身体のあらゆる部位に意識を向けると、集中力も高まります。

どれも日常生活の中で行なっていることです。少し意識するだけで違ってきますよ。

坐禅

坐禅は以下の3つのステップで行います。

  1. 調身で姿勢を正す
  2. 調息で呼吸を正す
  3. 調心で心を正す

調身は背筋を伸ばし、重心が安定する姿勢。調息はマインドフルネス と同じく丹田呼吸法です。坐禅は雑念が入っても意識せず、放置しておくようにしましょう。

ヨガ

ヨガの場合も基本の呼吸は腹式呼吸ですが、ヨガにはポーズがあるため、胸式呼吸と使い分けられます。

姿勢、呼吸、瞑想のバランスで成り立っているのは、坐禅と変わりませんが、ヨガはそこに動きが加わります。ポーズの数はなんと8400万種類程度。代表的なものに「前屈のポーズ」や「猫牛のポーズ」があります。

ポーズがヨガの特徴ではありますが、これは軸をつくるための通過点に過ぎません。全てから解放された状態、つまり、悟りの境地にたどり着くには8つのステップがあります。

その中でも、「ヤマ」「ニヤマ」と呼ばれる、最も日常的で基本的な個人の行動規範が守れなければ、ポーズである「アーサナ」を行うことはできないとされています。ヨガは単なる健康や美容のためでなく、自我を育てる修行なのです。

マインドフルネス ・坐禅・ヨガは習慣化することで効果があらわれます。レクチャーをしてくれるお寺もあるので、一人ではなかなか行動に移せないという方は一度体験に行ってみても良いのではないでしょうか。

マインドフルネスを体験できるお寺

来迎寺

千葉県香取市にある「来迎寺」では、毎月マインドフルネス瞑想教室を行っています。日常のストレスから少しでも離れ、身体と心をリラックスするための練習ができますよ。講師も瞑想修行の本場であるスリランカの僧侶です。優しく丁寧に教えてくれるので、初心者でも通いやすいですよ。定期的に瞑想会ライブ配信も行っています。

高応寺

「高応寺」は埼玉県三郷市にあるお寺です。「誰もが心穏やかになれるお寺」をコンセプトとしています。住宅街ですが、小川やチョウザメと鯉が泳ぐ池もあります。ホタルが舞う姿も見られますよ。自宅でもできるようなマインドフルネス瞑想法の講演会が人気となっています。何気ない日常が仏教にも繋がっているということを体験することができる場です。新しい気づきも生まれてくることでしょう。

妙法寺

滋賀県近江八幡にある「妙法寺」でもマインドフルネスの体験や講座が受けられます。妙法寺は、遣唐使船から作られた護船観音が有名です。妙法寺では遠方の方でも気軽に参加できるようにオンラインでの受講も可能ですよ。講座には3種類あるので、自分のレベルに合わせて選ぶことができます。土日だけでなく、平日も開催されているのは嬉しいですね。

座禅を体験したいなら

林泉寺

東京都文京区茗荷谷にある「林泉寺」。都内の禅の発祥地と言われています。週に2回座禅会があります。初心者の方にはレクチャーをしながら進めてくれるので安心です。座禅会の他にも、月に1回茶道や花道、写経といった体験会も行っています。

香林院

東京都渋谷区広尾にある「香林寺」もおすすめです。朝7時から座禅ができるので、仕事前にマインドフルネスを体験することができます。1日がより充実しそうですね。僧侶から法話を聞くことができる朝の会あるので、身も心もリフレッシュできますよ。

天龍寺

 京都の嵯峨嵐山にある「天龍寺」では美しい庭園を前にして禅を組むことができます。毎月第二日曜が開催日です。予約をしなくても参加できますよ。座禅中は「半眼」で前方下に視線を落とすので庭が微かに見えます。静寂とした大自然の中で五感をフルに使うことができますよ。

マインドフルネスは病気予防にもなる!

マインドフルネスを行うメリットはたくさんあります。集中力や記憶力が上がるという効果は様々な場面で立証されています。また、マインドフルネスを行うと、ストレスに関する遺伝子が減少します。これにより、身体が軽くなったという方も多いです。

さらに、マインドフルネスの効果は精神面だけでなく、身体面でも良い影響を与えています。最近の研究では、抗炎症効果もあるということが分かったため、がん予防にも役立ちます。

マインドフルネスを行うことは、心身ともに健康に生きることに繋がるのですね。

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