お寺と龍の深い関係とは?

お寺への参拝時、龍の姿を必ず一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

本堂の天井や手水場など、あらゆる場所に龍の絵や彫刻が存在しています。なんとなく気付いてはいたけど、どうしてお寺に龍?何か意味があるの?とじつは疑問に思われていた方のために、今回はお寺と龍の関係についてご紹介していきます。

龍と仏教

本堂や法堂の天井・ふすまに、昇り龍が描かれているお寺がいくつかあります。これは龍が仏教を守護する八部衆のひとつ、龍神と呼ばれていることと密接な関係がありました。

八部衆(または天龍八部衆)は仏教が世間に広まるよりも前のインドの神々が、仏教を拠り所とし仏教および仏教徒を護る存在となった神様のことをいいます。

八部衆は龍と「天」「夜叉」「乾闥婆(けんだつば)」、そして有名な「阿修羅」に、「迦楼羅(かるら)」「緊那羅(きんなら)」「摩睺羅迦(まごろか)」の8つを指します。

仏教発祥の地であるインドでは、海や川に住む大蛇を蛇神として崇拝していました。この蛇の形をした神、つまり龍がお釈迦様の説法を聞き八部衆になったと言われています。

このことから日本のお寺でも、本堂や法堂といった法を説く大切な場を天空から見守ってくれる存在として、龍神を天井に描くようになったのです。

水をつかさどる神

中国や日本では、龍神は水をつかさどる神とされています。日本には木造建築物が多く、お寺もそのうちのひとつ。火災がおこるとたちまち燃え広がってしまいます。

そこで、天井に龍神を描いたり手水場に彫刻を設置したりすることで、火災除けを祈願したのです。その他にも農家にとっては雨乞い、漁師にとっては水難防止の意味もありました。

仏教での龍宮

伝説や昔話などに出てくる龍宮または竜宮城。海の底に造られた宮殿で、中国では龍の王が主として登場します。日本の龍も水の底に造られた宮殿にすんでいるとされており、じつは仏教とも結びつきがありました。

ひとりの僧侶「龍樹」がもたらした「華厳経」という仏教経典。じつはこれ、龍樹があの龍宮から授かってきたのです。しかも龍宮から得た経文が、「梵字」のもとになったという話も存在しています。この話が日本中に広まり、有名な浦島太郎のおはなしが生まれたと言われています。

浄土信仰とも結びつきがあり、日本では龍宮は幸せをもたらすものだと伝えられていました。海龍王経というお経には、海龍王が龍宮までの道を作りお釈迦様を招いた話も載っています。

東洋の龍、西洋のドラゴン

そういえば龍って、ファンタジーによく出てくるドラゴンとよく似ているけど同じなの?まさかドラゴンもお寺と関係が?

ここでちょっと寄り道。お寺とは少し話がずれますが、龍とドラゴンのちがいを見てみましょう。

龍も英語ではドラゴンといいますが、このふたつは全くの別もの。東洋では蛇のような姿で角やひげがあります。先にも述べたように、仏教や人を護ってくれる神聖な存在です。

一方ドラゴンは手足があり、皮膚はうろこで覆われています。口から火を吐き、神様や人間とは敵対関係にある恐ろしいものシンボル、悪の化身ともいわれています。ギリシャ神話やキリスト教の教えの中でも、退治される存在。仏教やお寺とは縁もゆかりもありません。

どちらも架空の生物で姿形も多少の類似点はありますが、その存在は国や歴史・思想によりまったく印象の違うものになりました。

お釈迦様と龍

お釈迦様が生まれた時、龍族の王はお祝いに甘い雨を降らせたという伝説があります。このことから、お釈迦様の誕生日である4月8日の仏教行事(花まつりなど)では、お釈迦様の像に甘茶をかけて信仰を表し、参拝時に甘茶を飲むようになったとされています。

このように、お寺と龍には古来から深いつながりがありました。お寺の参拝時にもし龍の姿を見つけたら、私たちを見守ってくれていることを思い出してあげてください。

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