アナタは知ってる?神社とお寺の違い

突然ですが、あなたは「神社」と「お寺」の違いをどこまで答えられるでしょうか?

「鳥居があるのが神社!」と見た目で判断している方も多いと思いますが、実は他にも明確な違いがあるんです。

それぞれの特徴を押さえておくと、神社やお寺巡りもより楽しくなりますよ。ぜひ最後まで読んでみてください。

神社とお寺の違いは宗教

この二つの決定的な違いは「宗教」にあります。

神社は「神道(しんどう)」

お寺は「仏教」

では、神道と仏教の違いとは一体何なのでしょうか。以下で詳しく説明していきます。

【神社】神道は日本で誕生した宗教

先程、違いは宗教にあると言いましたが、神社に関しては考え方によって「宗教ではない」とも言われています。どういうことかと言うと、神社には、教祖や教義・経典がありません。つまり「こうしなさい」という教えがないのです。

神道の場合、祈りを捧げる対象は神様です。「八百万の神(やおよろずのかみ)」と言われています。日本古来では、様々なモノを神に具現化していました。人や動物、植物だけでなく、山や川、月や太陽といった大自然も神として扱われていていました。山には山の神、川には川の神がいるといった感じです。それらの神様を祀っている場所が神社ということになります。

神道では人間も自然の一部であると考えられているので、自然は人間が征服するものではなく共存や尊敬するものとして扱わなければならないのが神道の考え方です。

中でも神社の中で格式が最も高いのは「伊勢神宮」です。天照大神(あまてらすおおかみ)という最も偉い神様が祀られています。

神社の名前に「神宮」「大社」「宮」といった名称がつくのも特徴の一つです。「○○神宮」という名前の神社は、皇室のご先祖様にあたる神様を祀っている場合が多いですよ。

【お寺】仏教は海外から伝えられた宗教

仏教はインドのお釈迦様(ブッタ)を開祖とする世界的な宗教です。紀元前5世紀前後にインドで活動したのがはじまりと言われており、中国・日本へと入ってきました。

お釈迦様の死後、教団はいくつもの部派に分かれて発展し、現在日本の代表的な宗派は13宗派あります。法相宗・華厳宗・律宗・天台宗真言宗・融通念仏宗・浄土宗・浄土真宗・時宗・臨済宗・曹洞宗・黄檗宗・日蓮宗の13宗です。それぞれの分派も合わせると56派もの数になります。

仏教では「輪廻転生(りんねてんせい)」を根本の考え方にしています。輪廻転生とは以下のような意味です。

生きる事はとても苦しいこと。
それでも人間は何度も生まれ変わりを繰り返している。
最終的に悟って仏になれば、苦しい生死のサイクルから抜け出せる。

その仏様を祭っているのがお寺となります。

お寺の名前には「院」「庵」「坊」「大師」などがあり、覚えておくと神社との区別もしやすいですよ。

仏様のなかで最も格式が高いの「阿弥陀如来(あみだにょらい)」という仏様。全国にある半数以上のお寺がご本尊に安置している仏様も阿弥陀如来です。

外観で見分けられる鳥居と門の違い

外観で見分けている方も多い、神社とお寺の違い。鳥居と門には様々な役割があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

【神社】鳥居は境界線のしるし

神社の入口には必ず鳥居があります。

鳥居が持つ役割として、神社の内側の神聖な場所(神域)と外側の人間の暮らす場所(俗界)との境界をあらわしています。結果として、神社の中に不浄なものが入ることを防ぐ、という役割もあると言われています。

一般的には、鳥居は一つですが、大きな神社になると複数の鳥居を設置している場所もありますよ。複数ある場合、本殿からもっとも離れた鳥居を「一の鳥居」と呼び「二の鳥居」、「三の鳥居」と続きます。複数ある鳥居はくぐるごとに聖性が高まるとも言われていますよ。京都の伏見稲荷大社は千本鳥居で有名ですよね。伏見稲荷大社は、全国3万社ある稲荷神社の総本宮です。五穀豊穣や商売繁昌の神として信仰されています。

また、多くの鳥居は二本の柱の最上部に笠木(かさぎ)を乗せ、その下に貫(ぬき)を渡して連結する形をしていますが、鳥居にも様々な種類があります。屋根の付いた両部鳥居や三連の三輪鳥居など神社の系統によって違うので、探しに行くのも面白そうですよ。

【お寺】山門は世俗と仏道の境のしるし

お寺の正門のことを「山門(さんもん)」と呼びます。この門は世俗の世界と仏道の世界の境にある大切な門です。

山門の名称の由来は所説ありますが、修行に専念するため静かな山の中で行っていました。お寺は人里離れた山奥に建てられていたことから、山門と呼ばれるようになったようです。

「三門(さんもん)」とも呼ばれることがありますが、どちらも同じ意味をもつお寺の門を指します。現在では、「三門」はあまり使われない表現ですが、浄土宗の総本山知恩院や臨済宗の大本山南禅寺、大本山妙心寺など一部の寺院では「三門」という表記が取られています。

三門の由来は、三解脱門の意とされています。三解脱というのは、涅槃(ねはん)に入るために悩みから解放されることを指します。空・無相・無作の3つ解脱門を寺院の門に擬したものが三門です。三門は楼上(ろうじょう)に釈迦三尊、左右に羅漢像を安置するのが特徴。鎌倉時代に禅宗とともに重層楼門の左右に山廊を付けたものが流行したことでこの名称がついたとされています。

造りの違い

【神社】神様が祀られている場所

神社は鳥居から始まり、参道に出ます。その脇には身を清める「手水舎」があり、そこからさらに進むと神様が祀られている「本殿」という構造になっています。本殿は神が宿る場所とされているため、人の目に触れることがないように配慮されています。神社に行っても中が見られないのはこの理由からです。

【お寺】修行する場所

お寺はもともと、僧侶が修行をするための場所として使われていました。そのため、構造も僧侶が住む「僧房」と仏像を祀る「伽藍」に分かれます。仏塔や仏像を収める仏殿は山門の中に造られていて、寺院では仏像を常時拝観することが可能です。

参拝方法の違い

【神社】幸福を願う

神社への参拝は穢れを清めるためにあるとされています。心機一転し新たな決意表明をする場所となります。神社とお寺では参拝方法も異なり、「二礼二拍手一礼」が神社の基本となっています。

【お寺】誓いを立てる

神社ではお願いをしますが、お寺で誓いを立てます。自身の環境や生活をよりよくしていくために目標を定めましょう。参拝の仕方も神社とは違い、お賽銭を奉納した後、胸の前で両手を合わせて合掌します。拍手は打たないようにしましょう。

実はまったく違う神社とお寺まとめ

いかがだったでしょうか。ここでももう一度、お寺と神社の違いをしっかり押さえておきましょう。

【神社】

・神道の施設

・神様が祀っている

・神様は人目に触れることが許されない

・「神宮」「大社」「宮」といった名称がつく

・神社の入り口には鳥居がある

【お寺】

・仏教の施設

・仏様を祀っている

・仏様は常時拝観することができる

・「院」「庵」「坊」「大師」といった名称がつく

・入口には山門と呼ばれる門がある

それぞれの特徴を知って参拝にいくと、またいつもと違った空気感が楽しめるのでじゃないでしょうか。今回ご紹介しきれなかった細かな違いもまだまだあるので、気になる方はぜひ調べてみてくださいね。

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